認知症の方を介護される方へ
認知症とは
脳の病気やケガにより認知機能が低下して、生活に支障をきたしている状態をさします。
認知症の症状は大きく2つに分けられます。
- 中核症状(認知機能の障害)
- 実行機能障害(料理や計算など物事を順序よく実行出来ない)、記憶障害(物忘れ)、見当識障害(日時や場所がわからない)など。
- BPSD(行動・心理症状)
- 妄想、うつ状態、興奮や暴力、徘徊など。
認知症を引き起こす代表的な病気
- ●アルツハイマー病
- 認知症の原因となる病気の中で最も多い。
物忘れが目立つが、それ以外の症状(実行機能障害)も起こる。症状は緩やかに進行する。 - ● レビー小体型認知症
- 脳の中に「レビー小体」と呼ばれる特異な物質が出現し、神経細胞が死滅していくと考えられる。
物忘れのほか「幻視」「パーキンソン症状」が見られるのが特徴。
調子の良いときと悪いときの変化が大きい。 - ●血管性認知症
- 脳梗塞や脳出血・くも膜下出血などの脳卒中により認知機能障害がおきることが原因。
脳卒中を繰り返すとその度悪化するので、再発予防により進行の抑制につながる。 - ●前頭側頭型認知症
- 65歳未満で発症することが多く、脳の一部の萎縮が徐々に進行する。
このほか、正常圧水頭症・慢性硬膜下血腫・甲状腺機能低下症など、手術や薬物治療が可能な認知症もあります。
認知症かな?と感じたときには、早期に適正な検査・診察を受けることが大切です。本人が受診を嫌がるケースもあるでしょうが、そのままにして時期を逃すことのないよう、まずはご家族だけでも相談に行くなど対応しましょう。
認知症の進行を遅らせる治療
アルツハイマー病は早期ほど薬で進行を遅らせやすいことがわかっています。
お薬の種類 | 剤型 | 特徴 | |
---|---|---|---|
コリンエステラーゼ阻害薬 | ドネペジル | 錠剤・ゼリー・細粒 ドライシロップ |
認知症の初期から使用、脳の神経細胞間の情報伝達を維持する働きがある、患者さんの状態によって剤型選択が出来る |
ガランタミン | 錠剤 | ||
リバスチグミン | 貼り薬 | ||
NMDA受容体拮抗薬 | メマンチン | 錠剤 | 中等度程度に進行した状態から使用、BPSDを軽減することもある、脳の神経細胞を保護する働きがある |
アルツハイマー病の治療には「薬物療法」の他に、生活上の工夫「環境整備」や持病を含めた「体調管理」などがあり、状況に応じて併用することになります。これらにより患者さんのいらだちや不安が軽減されると、BPSD(周辺症状)の予防や改善につながることがわかっています。
認知症になって、出来ないことが増え、多くのことを忘れていったとしても感情は残っています。
怒られると悲しくなりますし、ためされていると感じると怒りや悲しみを感じます。
逆に、褒められたり「ありがとう」と感謝されると喜びを感じます。すべてがわからなくなったのではなく、心は生きているのです。
介護する家族の負担は大きいですが、介護保険や周囲の助けをかりて負担を分散しましょう。